秋山 和徳

リサーチサイエンティスト

マサチューセッツ工科大学 ヘイスタック観測所

連絡先

Address: 99 Millstone Hill Rd, Westford MA, 01886, USA

Website: https://sites.mit.edu/kazuakiyama

Phone: +1(617)715-5579

Email: kakiyama@mit.edu

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自己紹介

私はマサチューセッツ工科大学 ヘイスタック観測所で働いている宇宙物理学/天文学の研究者です。私が主に研究しているのはブラックホールと呼ばれるアインシュタインの一般相対性理論が予言するこの宇宙で最も究極的な天体です。これまで超長基線電波干渉計(VLBI)と呼ばれる技術を使って、ブラックホールを非常に高い空間分解能(視力)で観測的に調べてきました。ブラックホール近傍の強重力場における物理、活動的な巨大ブラックホールによって明るく輝く活動銀河中心核、電波干渉計のためのデータ解析処理や画像化アルゴリズムの開発や実装などに興味を持っています。

学生時代から深く関わっているのがブラックホールの史上初の撮影を成し遂げた国際プロジェクト Event Horizon Telescope (EHT)です。本プロジェクトには邦人初の学生として2010年から参加し、中心的なメンバーの一人として研究を進めて来ました。2017年にEHT Collaborationが発足してからはその画像化チームであるImaging Working Groupの最初の世話人として設立し、2022年まで5年にわたって主導しました。この時になされたのが史上初のブラックホールの観測データの画像化です。さらにEHTの画像化チームを率いるのと並行で、スパースモデリングに代表される最新の統計数理の手法を用いた画像化技術の開発に取り組み、ブラックホールの初撮影が行われたM87*Sgr A*の画像化に使われたSMILIというソフトウェアを開発しました。

現在EHTのコミュニティでは、EHT Collaborationの科学諮問委員 (2022-), EHTの次世代拡張を目指すnext generation EHT CollaborationのAlgorithm & Inference Working Groupの世話人 (2022-)などを務めています。 さらに現在米国主導で日米共同ミッションとして検討が進む次期スペースVLBI計画であるBlack Hole Explorer Missionにおけるヘイスタック観測所のグループの代表、および日本の検討グループの共同代表を務めています。

私は東京都出身で日本で育ちました。現在の専門である電波天文学には北海道大学の学生時代に徂徠和夫 教授の研究室にて出会いました。北海道大学理学部物理学科を2010年に卒業した後に東京大学大学院に進学し、国立天文台 水沢VLBI観測所本間希樹 教授の指導のもと2012年、2015年にそれぞれ修士号と博士号を取得しました。現在勤務しているマサチューセッツ工科大学ヘイスタック観測所には博士号を取得した2015年に日本学術振興会海外特別研究員として着任し、2017年からは邦人初のアメリカ国立電波天文台ジャンスキーフェローとしてポスドク2期目を過ごしました。現職のリサーチサイエンティストには2020年に着任し、現在は電波天文学グループの研究主催者(Principal Investigator)の一人として勤務しています。

これまでに授賞した賞には東京大学総長賞 (2015)日本天文学会研究奨励賞 (2020)文部科学大臣表彰 若手科学者賞 (2020)、またEHT Collaborationの一員として授賞した基礎物理学ブレークスルー賞 (2019)などがあります。

人類が初めて捉えたブラックホールの姿

国際研究グループ Event Horizon Telescope Collaborationの画像化作業班の世話人としてEHTによる史上初のブラックホールの画像化を主導しました。史上初のブラックホール撮影がなされたM87*の画像化プロジェクト(EHT Collaboration et al. 2019, ApJL, 875, L4)はMichael Johnsonさん、Katie Boumanさん、Andrew Chaelさん、Jose Gomezさんとともに主導しました。また天の川銀河中心の巨大ブラックホールSgr A*の画像化プロジェクト(EHT Collaboration et al. 2022, ApJL, 930, L15)はKatie BoumanさんとJose Gomezさんとともに主導しました。この二つのブラックホールでなされたブラックホールの初撮影には、私が開発してきた画像化手法を用いた二つのソフトウェアが使われています。一つは私自身が開発したSMILI、もう一つはAndrew Chaelさんが開発したeht-imagingです。

EHTによって史上初めて捉えられたブラックホールの姿。おとめ座銀河団の中心にあるM87銀河の中心に潜む超巨大ブラックホールM87*と、私たちが住む天の川銀河の中心にある巨大ブラックホール いて座A* (Sgr A*)を捉えた画像です。 Credit: EHT Collaboration

アメリカ国立科学財団の動画でいて座A*を紹介させていただきました!